知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ
論語の一節です。「知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。」と続きます。
今年度から前病院事業管理者の松野正紀先生の命を受け、同業務を引き継がせて戴くことになった丹野弘晃と申します。
院長職としても大変お世話になりましたが、今後とも何とぞよろしくお願い致します。松野先生は当院にとってまさに山のような存在であり、どっしりと落ち着いていて、全職員に安心感を与えてくれておりました。
その物腰は泰然自若で情け深く、仁者そのものであったと思います。
今後も十和田全体を包み込むような優しい眼差しで、我々を見守っていただきたいと思います。これまでのご尽力に心より感謝申し上げます。
冒頭の一節についてですが、山水を例に知者と仁者を比較形容している内容です。知者は水のように隅々を潤しながら動く存在であり、仁者は重厚で慈悲深く山のように静かである。
この一文と出会い、松野先生は仁者そのものだな、と改めて感じた次第です。その任を引き継ぐことになり、今後の私自身の心構えを考えていた時に、腑に落ちた一文でもありました。
私は松野先生のような味は出せない人間ですし、仁者と比較された所謂道理をわきまえた知者になることもできませんが、水のように動き回ることはできそうですし、性に合っていると自己分析したところです。
そこで院長職での経験も活かしながら、組織を潤す水のような存在になるべく努力する所存です。
自治体病院は地方公営企業として、医療の公共性という公営性と経営という企業性を両立させなければなりません。
そして何と言っても当院は、上十三医療圏での中核病院としての使命を果たしながら存立し続けていかなければなりません。
そのためにも、事業管理者としての責任を全うするためにも、昨年度まで院長職として医療に軸足を置いていた考え方を医療と経営の両立という軸足に少しシフトさせる必要があると考えています。
医療の質と経営の質のバランスを強く意識しながら、今後の病院運営に取り組んで参ります。
この決意を今年度の病院目標に入れ込むことにして、「経営の透明化・可視化~経営データの説明責任を果たす~」を掲げさせていただきました。
その他の目標としては、「働き方改革の推進~効率的な時間の管理・ICT の活用~」、「寝たきり防止~リハビリテーション栄養の周知~」、「国際化への対応」としており、高橋道長新院長と共に、その実現に邁進したいと思います。
地域の皆様のご支援を何とぞよろしくお願い致します。