当院は、十和田市内のグループホームで発生した新型コロナウイルス感染症の患者さん 9 名を受け入れ、感染症指定医療機関としての責務をしっかりと果たして参りました。
その経過の中で、感染症病棟の第一線で働いてくれている看護師さん 4 名が、同感染症に罹患してしまいました。
患者さんのために全力で勤務してくれていた職員を守り切れずに感染させてしまったことは、管理者として大変申し訳なく、まさに痛恨の極みです。
一日も早く快癒され、元気な姿で職場復帰してくれることを熱望しております。
入院された患者さんは認知症を有する高齢者で、痰の吸引・食事介助・口腔ケア・排泄介助・体位交換・全身清拭等、日常生活のほぼすべてに介助を要する状態であり、感染管理との両立が最も困難な状況にあることは容易に想像できます。その極めて困難な状況の中、自己の感染予防と看護の質の維持との葛藤を抱えながら奮闘されている現場の皆様に、改めて心より敬意を表します。県が派遣してくれた感染対策チームの外部評価では、防護具のリユース等の指摘はあったものの、やるべきことはやっていたとのことでした。ただ、どうしても患者さんに関わる時間が長くなってしまうことが、感染リスクを高めているとのご指摘もあり、人員配置を強化し現場の負担軽減に繋げたところです。
医局・看護局、そして5階西病棟職員の皆様のご協力に心より感謝致します。
現時点では、関係職員の感染予防意識が高かったこともあり、当院で発生した感染は本館や市中には拡がっていないと考えています。
この新型コロナウイルスとの闘いは長期戦が予想されますので、当分の間感染症病棟の運営や対策本部の体制は、現在のチーム制を維持していただきたいと思います。
一方、当院の最も重要な機能は「救急医療を中心とした急性期医療である」ことは自明のことであり、急性期医療ができない当院は存立意義がない、と言っても過言ではありません。
院内発生した感染が本館へも波及している可能性があったために、数日間救急対応を停止せざるを得ませんでしたが、その疑いは晴れております。
急性期医療は当院の根幹であり、感染対策の枝を太くしたことにより、たとえその根幹が細くなっても死守すべきと考えています。
感染対策チームに直接関わっていない職員は、言わば救急・急性期診療チームということになります。
「感染チーム」と「救急チーム」、全職員がこの二つのチームのいずれかに所属しているという意識で、地域医療を守り抜き、この厳しい状況を乗り越えて行きましょう。
諸々の風評被害があることは承知しておりますが、「地域医療を守っているのは我々である」との誇りを持って、堂々と目の前の仕事をしっかりやって行きましょう。
今こそ「Keep on going!」です。