〒034-0093
青森県十和田市西十二番町14番8号
TEL:0176-23-5121(代表)
時代の進歩に伴い、医療技術はめざましく発展しました。新しい病状の発見や認定、新しい診断方法や治療方法の確立、新しい医療機器の登場、新しいリハビリ方法や介護療養方法の開発などにより、医療現場に対するニーズが多種多様化しました。
十和田市立中央病院においてもこの状況から漏れず、上十三地域(上北、十和田、三沢地区)のみなさまから病院へのニーズは非常に多岐にわたります。しかも、病院開設から50年という長い歴史の中で、「行けばなんでも診てくれる病院」、「治るまでゆっくり入院できる病院」という地域のみなさまの期待もたいへん大きくあります。
そのため地域の中核病院へ患者が集中してしまう傾向があります。軽傷や軽い風邪症状の患者から、高度な治療や手術が必要な患者、長期的な入院が必要な患者、リハビリや介護療養が必要な患者、そして、24時間対応が必要な救急患者など。
当病院だけではなく全国的(特に地方の医療機関)にみてこの傾向が強く、医師や看護師、専門技師をはじめ、さまざまな医療従事者への負担が大きくなっています。
地域の中核病院へ患者が集中することにより、病院が持っている最適な医療サービスを提供できなくなっています。また、医療従事者への過度な負担増は、医師や看護師などの離職の要因となっております。そして、医療従事者の不足は、病院の破綻につながり、最悪のケースでは地域医療の崩壊を招いております。
上述のような医療機関の現状を打開するためのひとつの方法として、国(厚生労働省)から指針が発表されました。それが「地域医療連携」です。
その心は、『地域全体で地域医療を支えよう』です。
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厚生労働省のサイトより
(PDF:532KB)
地域の医療機関は中核病院だけではありません。開業医による各専門診療科医院をはじめ、診療所や介護療養施設、訪問福祉型民間業者などがあります。これらの医療機関がバラバラに医療サービスを提供するのではなく、地域の医療機関が連携し、それぞれの医療機関の特長を活かし、地域全体がひとつの医療システムとなって、最適な医療サービスを提供しようという新しい考え方です。
現在、日本各地の医療機関において、この「地域医療連携」が取り組まれております。その理由は、「医療従事者の不足による医療機関の閉鎖」に歯止めをかけることはもちろんですが、『地域医療の崩壊』により地域のみなさまが頼りとする中核病院がなくなってしまうことを防ぐためです。そして、なによりも大切なのは、患者さまひとりひとりに最適な医療サービスを提供できる体制を維持することなのです。
十和田市立中央病院でも、上十三地域にある多種多様な医療機関や医療施設とともに、『地域医療連携』に取り組んでおります。単に「紹介状がないので受診できません。」と患者さまを振り分けるのではなく、「地域医療連携」の中で急性期重症疾患や特殊疾患など重要な役割が果せる環境や体制、医療サービスの向上を目指しております。
そして、上十三地域の「地域医療連携」中核病院として、また、地域の数少ない二次救急病院として、高度な医療技術と最適な医療サービスが提供できるよう、次のような取り組みを推進しております。
この十数年の医療制度の変更や改正に振り回され、日本各地で多くの病院が廃業、閉鎖といった地域医療の崩壊に直面しております。国が出した『地域医療連携』という指針は、医療の現場に一筋の光明を与えましたが、これがすべての問題を解決するわけではなく、やはり抜本的な医療制度の改革が不可欠だと考えております。
しかし、ただ手をこまねいているよりも、今、当病院でやれる『地域医療連携』を積極的に取り組んでいくことが大切だと考えております。『地域医療連携』という考え方はまだ始まったばかりです。日本各地においても様々なアプローチで試行錯誤されており、具体的な方法は確立されておりませんが、コンセプトはひとつです。
『地域全体で地域医療を支える』
これは、まさに当病院の理念『いのちをみまもり、いのちをささえ、いのちをつなぐ』なのです。