2020年4月1日より、前事業管理者である松野正紀先生の命を受け、その業務を引き継がせて戴くことになった丹野弘晃と申します。
これまで院長職としても大変お世話になりましたが、改めてよろしくお願い致します。
さて、人口減少・高齢化が急速に進行する地域で、医療を維持し展開していくためには、柔軟に変化できる組織体にならなければなりません。
私見ではありますが、トップダウン的な地域医療構想の実現とボトムアップ的な地域包括ケアシステム構築の方向性は一致しており、当院の病院機能を維持継続するためにも、この流れを見極め対応しなければなりません。
これを踏まえて、当院は規模的にも地域的にも、「地域多機能型病院」即ち患者さんの状態に応じて柔軟に色を変えて対応できる愛称「カメレオン病院」を目指すことにしています。
具体的には救急診療・がん診療等の急性期診療を中心に、回復期診療のための地域包括ケア病棟と在宅診療に対応するための附属とわだ診療所を備えており、地域の変化に即応できる体制を構築しているところです。
地方公営企業でもある当院は、医療の公共性という公営性と経営という企業性を両立させながら存立し続けなければなりません。 当地に院長として着任した時の初心を忘れずに、医療の質と経営の質のバランスを強く意識しながら、今後の病院運営に取り組んで参ります。
当院のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
十和田市内で新型コロナウイルス感染症の患者さんが確認されてからまる3年が経過しました。
昨年度は、頻回の院内感染や医師をはじめとした職員クラスターが頻回に発生し、多くの試練が与えられました。
当院への新型コロナウイルス感染者の入院は、3年間で総計410名余りですが、そのうち290名の方が昨年入院しました。
この1年間で、これまでのコロナ入院患者のほぼ3/4が入院したことになります。
このため、特に昨年度は、救急車の受け入れ制限や、検査・手術の延期など、住民の皆様方には、多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
この間、亡くなられた方々に対しては、心よりご冥福をお祈りいたします。
当院でも、多くの職員が感染したものの、幸い重症化することはなく、また心配していた後遺症の発現もほとんどなく、皆復職しております。
4月からは長期間閉鎖していた6階西病棟を再開し、コロナ禍以前の体制に戻りつつあります。
ここ2ヶ月間でコロナによる入院は1名のみで、コロナ感染症の第8波は、収束へ向かっているように見えますが、もうしばらく慎重に推移を見守ることが必要と考えます。
2024年4月からは、待ったなしの医師働き方改革の実践が予定されています。
タスクシフト・タスクシェアによる他職種のサポートを得ながら、労働内容を明確にして、効率よく働くことにより、時間外労働を縮減することが必要になります。
医師による病状説明などは、勤務時間内に行うように指導しておりますので、皆様のご協力のほどよろしくお願いいたします。
400床以上の大病院は医師の集約化が進んでいるため、余裕のある勤務体制が組める一方、150床以下の回復期・慢性期病院では、救急患者を受け入れる必要性が低く、時間外勤務時間が月間80時間を超えないことが想定されます。
その両者の間の200~300床規模の急性期病院が、最も働き方改革の実現が難しいとされています。
まさに当院はこのポジションにいるため、多くの難題をクリアする必要があります。
医師働き方改革は、医師だけの問題ではなく、全職員が勤務体制・意識を変革することにより達成可能と考えておりますので、これからの1年間、病院全体で取り組んで参ります。
ここで、院内の医師の異動と診療体制の変更について、ご報告いたします。
耳鼻咽喉科と血管外科の医師が非常勤となり、耳鼻咽喉科は週4回(月・火・木・金)、血管外科は週1回(月)の外来診療に変更いたします。
その代わり、1年間常勤医師が不在だった呼吸器内科に呼吸器内科専門医の伊藤貴司先生をお迎えしました。
気管支鏡検査や肺がんに対する抗がん剤治療も、今後は当院で受けることができるようになります。
また、総合内科を総合診療科と標榜科名を変更し、診療科のトップを、脳神経外科の鈴木直也副院長が併任いたします。
水野医師・外崎医師を加えた3名の上級医に、新たに後期研修医3名が加わることにより、かかりつけ医の先生方からご紹介いただく様々な症状の患者さんの受け入れを断らず、かつ迅速・スムーズに診療することを目指します。
その他、外科・整形外科・泌尿器科で医師の異動があり、新たに初期研修医5名も着任し、医師の世代交代が順調に進んでおります。
彼らの若い力を貸していただき、個人の力を十分に発揮できるように職場環境を整えて、病院の舵取りを行って参ります。
人口減少がとりわけ急速に進行している上十三圏域で、急性期医療を守ることこそが、当院に与えられた最優先の使命と肝に銘じています。
圏域内の他医療施設との連携を一層強化するとともに、機能分化を明確化し、住民の皆様により良い医療を提供できるよう、職員一同一丸となって尽す所存です。
今年もよろしくお願いいたします。